記録を始めた最初のころの私は、二つの失敗を順番にやりました。最初は、書かなすぎ。名前と会社名だけの一覧は、名刺ホルダーと変わらず、何の役にも立ちませんでした。次は、書きすぎ。反省して会話の一部始終をメモするようにしたら、今度は記録が重くて三週間で止まりました。ちょうどいい記録とは何か。答えは、「次に会うとき、未来の自分が何を知っていたら助かるか」から逆算した項目でした。この章では、私がいま使っている記録の項目を、そのまま開いてお見せします。
17-1 記録すべき項目:出会いの経緯・関係性・望む関係性
「どこで会ったか」が文脈のすべて
まず、絶対に外せない項目から。出会いの経緯です。いつ、どこで、どんなきっかけで出会ったか。できれば、誰の紹介か。
なぜこれが筆頭なのか。出会いの経緯は、その人との関係の文脈そのものだからです。「◯◯の会で隣の席だった方」と「△△さんのご紹介の方」では、次の連絡の書き出しも、話題も、距離感も変わります。第10章の取得経路、第14章のファーストタッチ属性と、ずっと同じことを言ってきましたが、点の記録でも起点は同じです。そして経緯は、後から思い出せない筆頭の情報でもあります。半年経つと、「どこで会ったんだっけ」は、本当に消えます。出会ったその日のうちに、一行。これだけは譲れません。
現在の関係性と「望む関係性」を分けて持つ
次が、パーソナルCRMの心臓部だと私が考えている項目です。関係性を、二つに分けて記録します。現在の関係性と、望む関係性です。
現在の関係性は、いまの事実。「名刺交換のみ」「1on1を一度」「元お客様」。そして望む関係性は、自分がこの人とどうなりたいか。「仕事をご一緒したい」「地域の仲間として長く付き合いたい」「いつか先生と呼んで学びたい」。この二つの間の距離が、そのままあなたの行動計画になります。現在は名刺交換のみ、望むのは仕事の相談相手。なら、次の一手は1on1のお誘いです。望む関係性を書く習慣には、副産物もあります。書こうとして手が止まる相手がいるのです。この人と、どうなりたいんだっけ。その立ち止まりこそ、数を追う病(第3章)から関係の質へ、目線を戻してくれる瞬間です。
望む関係性が次のアクションを決める
望む関係性の効き目を、もう少し具体的に。この項目があると、フォローの優先順位と中身が、迷わなくなります。
全員に同じ頻度で連絡するのは、現実には無理ですし、その必要もありません。望む関係性が深い人ほど、こまめに、個別で。ゆるやかでいい人は、月々のお便り(面)で接点を保つ。第13章でお話しした配信の濃淡も、この項目が根拠になります。そして中身も決まります。「学びたい人」には教えを乞う連絡を、「ご一緒したい人」には相手の仕事の役に立つ情報を。望む関係性は、書いた瞬間から、あなたの行動を静かに方向づけ始めます。
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第18章 関係の質を見える化する — 信頼度スコアと段階管理
記録が貯まってくると、次の問いが生まれます。「この人との関係は、いま、どのくらい深いのか」。感覚を数字にする信頼度スコアと、課題認知を測るパーセプションの七段階。第3章の二軸を、ついに実務の道具にします。
