一人ひとりと丁寧に向き合うために、あえて「全自動」にはしない。
序章に掲げたこの一文に、もう一度戻ってくる時が来ました。ここまで、価値定義、認知、フロント、リスト、CRM、交流会と、部ごとに仕組みをつくってきました。部品は、揃っています。第7部の仕事は、部品を一台の機械に、いえ、一つの循環に組み上げることです。この章では、あなたの商売の全体設計図を一枚に描き、それが実際にどう動くのかを、二つのケーススタディで具体的にたどります。読み終えたとき、「自分の商売の全体の流れを図にできますか」という問いに、あなたは手を動かして答えられるようになっているはずです。
30-1 全体設計図:認知→フロント→リスト→CRM→紹介→認知
一枚の循環図を描く
まず、全体を一枚にします。本書がここまで組んできた仕組みは、直線ではなく、円を描いています。
認知(第2部)で、まだ会っていない人と、交流会で出会う人に、あなたの存在と専門性が届く。フロント(第3部)で、興味を持った人が、診断や小冊子という売り込みのない入口を通る。リスト(第4部)で、許諾を得た人に、お便りが届き続け、忘れられない状態が保たれる。CRM(第5部)で、一人ひとりの関係が記録され、冷める前に個別の一手が打たれる。交流会・商談(第6部)で、関係が相談になり、成約になる。そして、丁寧に付き合ったお客様と縁の深い人たちから、紹介が生まれる。紹介は、新しい出会い、つまり認知に戻ります。円が、閉じるのです。
各工程の接続部こそが弱点になりやすい
この循環図を描いてみると、大事なことに気づきます。うまくいっていない商売の問題は、たいてい工程そのものではなく、工程と工程のあいだ、接続部で起きているのです。
発信は頑張っているのに、リストにつながる入口がない(認知とフロントの断線)。診断は受けてもらえるのに、その後の配信がない(フロントとリストの断線)。配信はしているのに、反応が個別フォローに拾われない(面と点の断線、第20章)。お客様には満足してもらえるのに、紹介の言葉を渡していない(成約と紹介の断線、第28章)。それぞれの活動は真面目にやっているのに、成果が出ない。その正体は、努力不足ではなく、断線です。だから、全体設計図の使い方の第一は、頑張る場所を探すことではなく、切れている接続部を見つけることです。診断(半自動レベル診断)のカテゴリ別の点数は、まさにこの断線の位置を示しています。
マーケティング(面)とセールス(点)の定義を実装に落とす
序章で、本書の言葉の定義をお話ししました。リスト全員に届けるのが面(マーケティング)、顔と名前のある一人に向き合うのが点(セールス)。そして、面は点に奉仕する。この定義を、循環図の上で実装に落とすと、こうなります。
面の仕事は三つ。届き続けること(忘れられない)。気づきの種をまくこと(パーセプションを進める)。そして、合図を拾うこと(反応を点に引き渡す)。点の仕事も三つ。記録すること。冷える前に動くこと。そして、会話の中身を面に還すこと(ネタの還流、第20章)。あなたの毎日の作業がどちらの仕事で、循環のどこを担っているのか。それが言えるようになると、「今日は何をすべきか」の迷いが消えます。SNSを眺めている時間は、循環のどこにも載っていない。その自覚も、設計図が与えてくれるものの一つです。
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設計図が描けたら、最後の問いは「これを、ひとりの時間でどう回すか」です。日次・週次・月次のリズムに落とし込む、運用の章です。
