「お仕事は何をされているんですか」。交流会で必ず聞かれるこの質問に、あなたは30秒で答えられるでしょうか。私は長いあいだ、答えられませんでした。正確に説明しようとするほど話は長くなり、相手の目は泳ぎ、最後は「いろいろやってまして」と自分で畳んでしまう。当日の技術と聞くと話術を思い浮かべますが、必要なのは弁の立つことではなく、準備です。この章では、30秒の自己紹介、名刺、会話、別れ方という当日の四つの場面を、口下手だった私が準備でどう乗り越えてきたか、という形でお話しします。
24-1 30秒自己紹介の設計:何屋か+誰の役に立つか+覚えどころ
型:何屋か+誰の役に立つか+覚えどころ
自己紹介がうまくいかなかったころの私は、「正確に説明しよう」としていました。事業内容を、業務範囲を、正しく漏れなく。でも、交流会で相手が知りたいのは、事業の正確な説明ではありません。「この人は何の人で、誰に紹介できる人か」です。
そこで、型をつくりました。三つの部品でできています。第一に、何屋か。一言で、職業の棚に入れてもらう。第二に、誰の、どんな困りごとの役に立つか。第1章で磨いた価値定義が、ここでそのまま使えます。第三に、覚えどころ。その他大勢から自分を区別する、一つだけのフック。私なら「ネット集客25年やって、いちばん成約率が高かったのは『一度会った人』でした。だから、会った人へのフォローを仕組みにする仕事をしています」。長い説明より、一つの意外な事実。30秒は、伝えきる時間ではなく、覚えてもらう時間なのです。
専門用語を日常語に訳す
型に流し込む言葉には、一つ検問所を通します。専門用語を、日常語に訳すことです。
私の失敗で言えば、「MAツールの導入支援」と名乗っていた時期があります。同業者には通じますが、交流会の大半の人には、何の棚に入れていいか分からない。棚に入らない人は、思い出されません。いまなら「会った人へのフォローが続く仕組みづくり」と言います。中身は同じでも、聞いた人が自分の困りごとと結びつけられる言葉になっている。訳し方のコツは、道具の名前ではなく、相手に起きる変化で語ることです。「ホームページ制作」より「お店の前を通った人が入りたくなる看板を、ネットにつくる仕事」。訳せているかの判定は簡単で、商売と関係のない友人に話して、「ああ、なるほど」と言われたら合格です。
練習は声に出して10回
型ができたら、最後は練習です。身も蓋もない話に聞こえるかもしれませんが、ここを飛ばす人がいちばん多く、ここで差がつきます。
書いた自己紹介は、目で読むと完璧に見えます。でも、声に出すと、言いにくい箇所、息の切れる箇所、噛む箇所が必ず見つかります。私は新しい自己紹介をつくったら、声に出して10回言うことにしています。10回目には、文章を「言う」のではなく、内容を「話す」感じに変わってきます。この状態までもっていくと、当日、緊張していても口が勝手に動いてくれる。アドリブが苦手な人ほど、準備は武器になります。即興で話せる人を羨む必要はありません。準備した30秒は、即興の30秒に、たいてい勝ちます。
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第25章 出会って、終わり。にしない — 交流会後フォローの型
当日の技術は、ここまでです。そして本書の核心である「その後」が始まります。24時間以内のお礼から続くフォローの型を、手順そのものとしてお渡しします。
