前章を読んで、「入口が大事なのは分かった。でも、診断や小冊子をつくる時間がない」と感じた方も多いと思います。よく分かります。私も長いあいだ、フロントの制作は「いつかやるリスト」の常連でした。納品の合間に小冊子を書き上げる余力など、ないのです。その状況を変えてくれたのがAIでした。この本の「半自動レベル診断」も、設問設計から結果の文面まで、AIと共作したものです。この章では、診断、小冊子、セミナー資料、LPコピーという四つのフロント制作物について、私が実際にやった共作の手順をお見せします。
8-1 診断コンテンツをAIと共作する(設問設計→判定ロジック→結果文面)
設問設計:課題の言語化を設問に変換する
診断づくりは、設問づくりです。そして設問の材料は、もう手元にあります。第1章で集めた、ペルソナの「生の言葉」です。
お客様の困りごとを、「〜できていますか?」という問いに変換する。これが設問設計の基本動作です。「名刺の山を見ると気が重い」という生の言葉は、「交流会の名刺を、あとから連絡できる形で整理できていますか?」という設問になります。この変換を、AIと往復しながらやります。
私は「交流会には出ているが、フォローがそのままになっている一人経営者」
向けの自己チェック診断をつくっています。
【材料】お客様から集めた生の言葉
(ここに生の言葉を貼る)
【依頼】
この言葉を「〜できていますか?」形式の設問に変換してください。
・1設問1論点。二つのことを一度に聞かない
・「できていない」に印をつけた人が落ち込まず、
「ここが伸びしろか」と思える聞き方にする
・回答は「できている/一部できている/できていない・わからない」の3択を想定
AIの案をそのまま使うのではなく、声に出して読み、ペルソナの顔を思い浮かべて選び、削ります。私の半自動レベル診断も、AIとの往復で出した案を、最終的に自分で40問まで絞り込みました。
設問の数にも、第7章の階段の考え方を使います。私の場合、入口は8問の「半自動レベルチェック」、登録してくれた人には40問の「半自動レベル診断」という二段構えにしています。8問は、40問の中から各カテゴリの代表を1問ずつ選んだものです。最初から二つつくる必要はありません。まず全体版の設問をつくり、その中から代表を選んで軽い版にする。この順番なら、二つの診断の中身がずれることもありません。
判定ロジックと結果文面の作り方
設問ができたら、判定の設計です。凝りたくなるところですが、フロントの診断は、シンプルで十分です。私の設計は、3択に0点・1点・2点を割り当てて合計し、点数の範囲で4段階のレベルに分けるだけ。大事なのは点数の計算式ではなく、結果の見せ方です。
結果文面には、守るべき原則があります。責めないこと。低い点数が出た人こそ、あなたのペルソナです。その人が結果画面で感じるべきは「自分はダメだ」ではなく、「原因が分かった。ここから始めればいいのか」です。私の診断では、いちばん低いレベルの結果文にこそ、いちばん温かい言葉を置いています。「マメじゃないのが原因ではありません。仕組みがないだけ」。レベルの名前も同じ思想で付けます。「落第」「初心者」ではなく、「出会いっぱなし期」のように、状態を描写して、次があることを感じさせる名前に。結果文面の下書きはAIに頼めますが、この温度の調整だけは、必ず自分の目で確かめてください。
診断は「相手に自分の現在地を教える」贈り物
判定ができたら、最後にもう一度、診断全体を受け手の目で通します。確かめる問いは一つです。「この診断は、受けた人への贈り物になっているか」。
売り込みの入口として診断をつくると、どこかに誘導の匂いが出ます。設問が自社サービスの宣伝を兼ねていたり、結果がどう出ても「まずはご相談を」に着地したり。受け手は、その匂いに敏感です。逆に、受けただけで現在地が分かり、次の一歩まで見える診断は、それ自体が価値の提供になります。第7章でお話ししたとおり、フロントの役割は接点です。贈り物として成立している診断は、売り込まなくても、二つの軸(信頼と課題認知)を勝手に進めてくれます。
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第9章 リストは最強の資産 — リストマーケティングの原理原則
入口ができると、登録してくれる人が現れます。ここからが第4部「リストマーケティング」です。数を追う失敗を仕事の現場で見続けてきた私だからこそお伝えしたい、リストという資産との正しい付き合い方から始めます。
