交流会で出会った人が増えてくると、誰から手をつけていいか分からなくなります。そこで多くの人が試みるのが、人脈のランク分け――いわゆるレベリングです。
ところが、よくあるA/B/Cのランク付けは、実際にやってみるとほとんど機能しません。この記事では、その理由と、機能するレベリングの方法――「今の関係」×「なりたい関係」の2軸管理を解説します。
A/B/Cのランク分けでは「次の一手」が出てこない
関係の濃い順にA・B・Cとランクを付ける。直感的ですが、この方法にはひとつ致命的な欠陥があります。ランクを付け終わったあと、「で、何をするのか」が出てこないのです。
出てくる結論はせいぜい「Aランクの人を大事にしよう」程度。しかしそれは、ランク分けをしなくても分かっていたことです。
「濃い人優先」の落とし穴 ―― 濃い人は放っておいても連絡が来る
さらに問題なのは、「濃い人を優先する」という結論自体が間違っていることです。
すでに関係の濃い相手とは、放っておいても接点が生まれます。取引があれば連絡が来ますし、向こうから誘われもします。フォローの工数を最も必要としているのは、濃い人ではありません。「これから濃くしたい人」です。 単一軸のランク分けは、この最重要グループをCランクの底に沈めてしまいます。
2軸で管理する:「今の関係」×「なりたい関係」
解決策は、軸を2本に分けることです。
1本目は今の関係。これは事実であり、誰が評価しても同じになる客観的な軸です。2本目はなりたい関係。これはあなたの意思であり、戦略の軸です。
軸1:今の関係(Lv0〜Lv4)
| Lv | 状態 |
|---|---|
| 0 | 名刺交換しただけ |
| 1 | メール・SNSでつながっている |
| 2 | 1to1ミーティング済み |
| 3 | 継続的に接触している |
| 4 | 紹介し合える/取引がある |
迷ったら低いほうに付けます。実態より高く付けると、後述するギャップが見えなくなるからです。
軸2:なりたい関係
- 顧客になってほしい
- 紹介者になってほしい
- 協業パートナーになってほしい
- 情報交換相手でいたい
- 特になし(維持のみ)
大切なのは、「特になし」を堂々と選ぶことです。全員と深い関係を目指す必要はありません。むしろ「維持のみ」を明確にした人数のぶんだけ、本当に深めたい相手への工数が生まれます。
2つのギャップ=次にやるべきこと
2軸を設定すると、「今の関係」と「なりたい関係」の間に距離――ギャップ――が生まれます。このギャップこそが、レベリングの成果物です。ギャップが大きい相手ほど、やるべきことが多く、優先度が高い。 次の一手は、ギャップを1段埋める行動として自動的に決まります。
ギャップ表 ―― 組み合わせ別の次のアクション
| 今の関係 | なりたい関係 | ギャップ | 次にやること |
|---|---|---|---|
| Lv0 名刺交換だけ | 顧客 | 大 | 最優先で1to1アポを入れる(→1to1アポ確定術) |
| Lv0 名刺交換だけ | 紹介者 | 大 | まず自分から紹介する・ギブする(→リファーラル) |
| Lv2 1to1済み | 顧客 | 中 | 事例・資料を個別に送り、タイミングを待つ |
| Lv2 1to1済み | 維持のみ | 小 | 何もしない。メルマガに任せる(→レベル別90日フォロー・ステップメールからメルマガへ) |
| Lv3 継続接触中 | 紹介者 | 中 | 「どんな人を紹介してほしいか」を相互に確認する |
| Lv4 取引あり | 紹介者 | 小 | 紹介依頼を明示的に行う |
「今は浅い×なりたい関係は深い」が最優先
ギャップ表の最上段――名刺交換しかしていないのに、顧客や紹介者になってほしい相手。ここがフォロー戦略全体の最優先ゾーンです。
単一軸のランク分けでは、この人たちは「関係が浅い」という理由でCランクに沈み、フォローされないまま忘れられていきます。交流会の投資が回収されない最大の原因は、このゾーンの見落としだと言っても過言ではありません。
「今は深い×維持のみ」は何もしなくていい
逆に、関係は深いが、なりたい関係が「維持のみ」の相手。ここには個別フォローの工数を使いません。メルマガなどの仕組みに任せて、接点だけ絶やさなければ十分です。
この「何もしない」という判断を、罪悪感なく下せるようになることが、2軸管理の隠れた効用です。フォローの工数は有限です。配らなければ、配るべき相手に届きません。
「なりたい関係」は変わる ―― 定期的な見直しが前提
2軸レベリングには、運用上の注意がひとつあります。「今の関係」は接触のたびに動き、「なりたい関係」も状況で変わるということです。
相手が転職すれば「顧客になってほしい」は「紹介者になってほしい」に変わるかもしれません。自社の新サービスによって、情報交換相手が見込み顧客に変わることもあります。つまりレベリングは一度やって終わりではなく、四半期に一度は全体を見直す運用がセットで必要です。
見直しを人力で続けるのは難しい
そして、ここが正直な話です。数百人の2軸設定を、エクセルで四半期ごとに見直し続けるのは、現実にはかなり難しい。人間が安定的に管理できる関係の数には限界があり(ダンバー数・約150人)、その外側の管理は道具の仕事です。
→ 関連記事:人脈は何人まで管理できる?ダンバー数から考える限界
ねこすけCMSでは「なりたい関係」の設定が標準機能になっており、ギャップのある相手が一覧で浮かび上がります。レベリングを仕組みとして回したい方は、こちらをご覧ください。
→ 関連記事:交流会フォローの全工程を1つに|ねこすけCMS
レベリングは「切り捨て」ではなく「配分」
人脈のランク分けと聞くと、人を選別するようで気が引ける――そう感じる方もいるかもしれません。しかし2軸レベリングの本質は切り捨てではなく、限られたフォロー工数の配分です。
全員に薄く接するのは、誰にも届かないのと同じです。なりたい関係がある相手には濃く、維持だけでいい相手には仕組みで。その配分を決める道具が、「今の関係」×「なりたい関係」の2軸です。
まずは直近の交流会で会った20人からで構いません。2軸を付けてみると、次に連絡すべき相手の顔が、はっきり浮かび上がってくるはずです。
