人脈は何人まで管理できる?ダンバー数から考えるビジネス交流会の限界

ビジネス交流会や異業種交流会に通い始めると、名刺は面白いように増えていきます。そして、ある時点から必ず同じことが起きます。「この人、どこで会った人だっけ」。

フォローしたい気持ちはあるのに、管理が追いつかない。この記事では、その「追いつかない」の正体を、人類学の知見と実務の両面から解きます。結論を先に言えば、管理できないのはあなたのせいではなく、脳の仕様です。

目次

交流会に通うほど「管理できない人」が増えていく

月2回の交流会に参加し、1回で20人と名刺交換するとします。1年で480人。控えめに見積もっても、2〜3年で人脈は1,000人を超えます。

一方で、あなたが「顔と名前が一致して、最近何をしているか知っていて、連絡しようと思えばすぐ話題が出てくる人」は何人いるでしょうか。おそらく100人前後のはずです。この差分――知り合ったのに関係として維持できていない人――が、交流会の投資が回収されない正体です。

ダンバー数 ―― 人間が維持できる関係は約150人

5・15・50・150・500・1500の階層

イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは、霊長類の脳の大きさと群れの規模の関係から、人間が安定した社会関係を維持できる人数はおよそ150人だと提唱しました。いわゆる「ダンバー数」です。

ダンバーの研究では、人間関係は同心円状の階層をなすとされます。

人数関係の性質
約5人最も親しい人(家族・親友)
約15人親しい友人
約50人友人
約150人信頼と義務をともなう安定した関係の上限(=ダンバー数)
約500人知人
約1,500人顔を認識できる上限

※ ダンバー数は学術的な仮説であり、数値には研究上の幅があります。ただし「維持できる関係に上限がある」こと自体は、複数の研究で繰り返し支持されています。

交流会人脈のほとんどは150人の外側にいる

この階層に交流会の人脈を重ねると、構造がはっきり見えます。あなたの150人の枠は、家族・友人・同僚・既存顧客ですでに大半が埋まっています。交流会で新しく出会った人が入れる空きは、ほとんど残っていません。

つまり交流会人脈の大部分は、放っておけば自動的に「500人の知人」か「1,500人の顔だけ知っている人」の外周へ流れていき、やがてその外にこぼれ落ちます。名刺だけが残り、関係は消える。これが「名刺は増えたのに何も起きない」のメカニズムです。

では道具を使えば何人まで管理できるのか

脳に限界があるなら道具で補えばいい――そのとおりです。ただし、道具にもそれぞれ限界があります。実務的な体感として、次のように整理できます。

脳(記憶):思い出すきっかけが来ない

脳の問題は、記憶容量だけではありません。より深刻なのは、思い出すきっかけが向こうからやって来ないことです。「そういえば田中さん、あの件どうなっただろう」と思い出すのは偶然に頼るしかなく、偶然は数百人をカバーしません。フォローとは本質的に「適切なタイミングで思い出すこと」なので、脳だけでは構造的に無理があります。

名刺管理アプリ:連絡先は残るが「関係の状態」が残らない

名刺管理アプリ(OCR型)は、連絡先の保存と検索には優れています。しかし残るのは「連絡先」であって「関係」ではありません。いつ会って、何を話して、どんな関係になりたくて、次に何をすべきか――フォローに必要な情報は入っていません。検索はできても、「今日、誰に連絡すべきか」は教えてくれないのです。

エクセル:更新が手作業、リマインドが飛ばない

エクセルやスプレッドシートでの顧客管理は、始めるのは簡単です。しかし件数が増えるにつれ、必ず同じ壁に当たります。更新がすべて手作業であること。1人に複数の接触履歴を時系列で残す構造になっていないこと。そして何より、期日が来ても何も知らせてくれないこと。「フォロー予定日」の列を作っても、その列を毎日見に行く習慣は続きません。実務的な体感では、数百件を超えたエクセル顧客リストの大半は、更新されない台帳になります。

→ 関連記事:名刺のデータ化の方法比較

限界の本質は人数ではなく「更新頻度×件数」

ここまでを整理すると、各道具の限界は「何人まで」という単純な数ではないことが分かります。本質は「関係の状態を最新に保つ作業量」が、件数に比例して増え続けることです。

100人を年4回見直すなら、年400回の更新が要ります。手作業でこれを続けられる人はほとんどいません。逆に言えば、更新とリマインドを道具側が肩代わりしてくれるなら、人数の上限は事実上なくなります。

150人の内側と外側で管理を分ける

ダンバー数は「150人までしか関係を持てない」という絶望の数字ではありません。150人の内側と外側で、関係の維持方法を分ければいいという設計指針です。

内側――なりたい関係が深い相手には、1to1や個別連絡といった能動的なフォローを割り当てます(→レベル別・90日フォロー設計)。外側――今は維持だけでいい相手には、メルマガやステップ配信という仕組みで接触を自動化します(→メルマガ許諾ステップメールからメルマガへ)。

誰を内側に置き、誰を外側に置くか。その仕分けの方法が「今の関係」×「なりたい関係」の2軸レベリングです。

→ 関連記事:「今の関係」と「なりたい関係」の2軸管理

人力の限界を超える唯一の方法 ―― 仕組み化

脳は150人で限界を迎え、名刺アプリは関係を記録できず、エクセルはリマインドを飛ばせない。この3つの弱点をすべて埋めるのが、パーソナルCRMというカテゴリのツールです。

連絡先・顔写真・接触履歴・なりたい関係・次回接触予定を1か所に持ち、期日が来れば向こうから知らせてくれる。さらに配信機能まで統合されていれば、150人の外側の維持も同じツールで完結します。ねこすけCMSはこの構成をそのまま実装しています。

→ 関連記事:交流会フォローの全工程を1つに|ねこすけCMS

管理できないのはあなたのせいではなく、脳の仕様

人間が維持できる関係は約150人。交流会で出会う人の大半は、構造的にその外側に落ちていきます。気合いでも記憶力でもこれは変えられません。

変えられるのは道具です。150人の内側は能動的なフォローで、外側は配信の仕組みで。その仕分けと運用を1か所で回せるツールを持ったとき、交流会の名刺の山は、はじめて関係資産に変わります。

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この記事を書いた人

株式会社ねこすけの代表をしています。
2005年に創業しWebマーケティングを実践するためのコンサルティング、サイト構築、サイト運用、システム開発を行っています。
会員・顧客属性を利用したコンテンツ管理を得意としており、協会サイト、多ブランドのECサイト、会員向けコンテンツサイトなどを構築運営しています。Webマーケティングのパートナーがほしいと感じている方、ご相談ください。
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