ビジネス交流会に何度も参加しているのに、売上につながらない。もしそうなら、営業のやり方を変える前に、狙う相手を疑ってみてください。
交流会フォロー戦略の最終ゴールは、目の前の人に売ることではありません。紹介が生まれる関係の網をつくることです。この記事では、その考え方と行動、そして紹介が自然に生まれる条件を解説します。
交流会で「売れない」のは当たり前 ―― ターゲット設定が違う
見込み顧客は会った人ではなく、会った人の知り合い
冷静に確率を考えてみます。交流会の会場に20人いるとして、その中にあなたの商品・サービスを「今まさに必要としている人」がいる確率はどれくらいでしょうか。業種も規模もタイミングもばらばらな20人です。確率はかなり低い。目の前の人に売ろうとする戦略は、この低い確率に毎回賭ける戦略です。
視点を変えます。その20人の後ろには、それぞれ数百人の知り合い――取引先、同業者、友人、家族――がいます。合計すれば数千人。この中に「今まさに困っている人」がいる確率は、会場内とは比べものになりません。
1人の後ろには数百人の二次人脈がいる
つまり、交流会で会う1人は「顧客候補」である前に、数百人の二次人脈への入口です。この見方に切り替えると、当日の振る舞いが変わります。目の前の相手に売り込む必要がなくなり、相手を深く知ること、信頼されること、そして「どんな人の役に立てるか」を正確に覚えてもらうことに集中できます。売り込まれないと分かった相手は心を開き、皮肉なことに、売り込まないほうが最終的な売上への道は太くなります。
だから先に与える ―― ギブ精神は精神論ではなく戦略
二次人脈への扉を開けてくれるのは、目の前の相手です。そして人は、自分に価値をくれた人の扉を開きます。先に与える(ギブ)が交流会戦略の中心にあるのは、道徳の話ではなく、この因果の話です。
ギブと言うと大げさに聞こえますが、実行可能な形は3つあります。
ギブの具体例①:人を紹介する
最も強いギブです。相手の1to1で「どんな人を紹介できたら嬉しいですか」と聞いておき(→1to1ミーティング)、自分の人脈の中から合う人を探してつなぐ。紹介された側もする側も、あなたへの信頼が一段上がります。そして紹介は高確率で紹介を呼びます。「紹介してくれた人」への返礼として、相手もあなたに合う人を探し始めるからです。
ギブの具体例②:情報・ノウハウを渡す
相手の困りごと(接触履歴に記録してあるはずです →接触履歴の記録)に対して、役立つ情報を届けます。参考記事のリンク、自分の経験からのアドバイス、使えるツールの紹介。売り物のノウハウを出し惜しみしないことがコツです。情報を渡して失うものはほとんどなく、「この分野はこの人」という認知だけが積み上がります。
ギブの具体例③:相手の商品・発信を広める
相手のSNS投稿をシェアする、相手のセミナーを自分のメルマガで案内する、相手の店を実際に利用して感想を発信する。コストはわずかですが、「自分の商売を応援してくれた人」として確実に記憶されます。自分のリストやSNSという発信基盤を持っている人ほど、このギブは強力になります(→キャンペーン告知)。
紹介が生まれる3つの条件
ギブを重ねれば自動的に紹介が来るわけではありません。紹介が実際に発生するには、相手側に3つの条件が揃っている必要があります。
条件①:相手があなたを説明できる言葉を持っている
紹介の瞬間、あなたはその場にいません。あなたを説明するのは相手です。相手が「えっと、何やってる人だったかな……Web系の?」としか言えなければ、紹介は流れます。
だから、30秒自己紹介の一文――「誰の・どんな困りごとを・どう解決するか」――を、相手が転送できる形で渡しておくことが効いてきます(→30秒自己紹介)。名刺やチラシに同じ一文が書いてあれば、相手はそれを見せるだけで紹介が成立します(→交流会のチラシの作り方・名刺に顔写真)。紹介は当日の仕込みから始まっているのです。
条件②:関係が維持されている
人が誰かを紹介するとき、頭に浮かぶのは「最近つながっている人」です。1年前に名刺交換したきりの人は、どれほど優秀でも想起されません。メルマガやレベル別フォローで接触を絶やさないこと(→レベル別90日フォロー・ザイオンス効果)は、紹介の文脈では「想起される状態の維持」として機能しています。
条件③:「どんな人を紹介してほしいか」を伝えてある
意外な盲点がこれです。相手があなたを紹介したくても、誰を紹介すればいいか分からなければ動けません。「いいお客さんがいたら紹介してください」では、範囲が広すぎて誰も浮かびません。
「従業員10人前後で、初めて人を雇う会社さんがいたら」――ここまで具体的なら、相手の頭の中で検索が走ります。自己紹介の対象の絞り込み(→30秒自己紹介)が、ここでも効きます。
紹介をお願いする言い方・タイミング
紹介は「生まれるのを待つ」が基本ですが、関係が深まった相手には、明示的にお願いして構いません。適切なタイミングは、こちらが先にギブをした後、あるいは相手から感謝された瞬間です。
「もしお知り合いに、〇〇で困っている方がいらっしゃったら、お声がけいただけると嬉しいです。△△な方のお役に立てることが多いので。」
ポイントは、「売り込んでほしい」ではなく「困っている人がいたら思い出してほしい」という頼み方にすることです。相手の負担は「思い出したら名前を出す」だけ。このハードルの低さが、実際の紹介数を決めます。なお、紹介が発生したら、結果がどうであれ必ず報告とお礼を。紹介した側が最も気にするのは「あの後どうなったか」であり、この報告が次の紹介への信頼になります。
紹介は「頼む」ものではなく「生まれる」もの
交流会フォロー戦略の全工程――当日の仕込み、記録、レベリング、1to1、配信――は、突き詰めればすべてこの記事のゴールに向かっています。説明できる言葉を渡し(条件①)、関係を維持し(条件②)、誰を紹介してほしいか伝え(条件③)、そして先に与える。
この状態ができた人脈の網の中では、あなたが営業していない時間にも、あなたの紹介が語られます。目の前の20人に売る営業から、20人の後ろの数千人に想起されるフォローへ。それが、交流会を「意味のある場」に変える最後のピースです。
→ 全体像はこちら:異業種交流会・ビジネス交流会のフォロー戦略 完全ガイド
