前回、
多くの人は課題を「持っていない」のではなく、
「気づいていない状態」にいる
という話をしました。
では、
課題を説明しているつもりなのに、
なぜ相手にまったく伝わらないことが多いのでしょうか。
原因は、
説明の内容そのものよりも、
説明の仕方にあります。
まず一つ目は、
専門用語を使いすぎているケースです。
提供する側にとっては当たり前の言葉でも、
相手にとっては聞き慣れない用語や横文字が並ぶと、
それだけで理解のハードルが上がります。
人は、
理解できない話を前にすると、
「これは自分の話かどうか」を考える前に、
考えること自体をやめてしまいます。
二つ目は、
解決策から入ってしまう説明です。
「このツールを使えば」
「この仕組みを導入すれば」
「この方法が正解です」
こうした話し方は、
一見わかりやすそうに見えますが、
課題に気づいていない相手にとっては
唐突です。
なぜそれが必要なのかがわからないまま
解決策を提示されると、
人は自然と距離を取ります。
三つ目は、
商品ありきの話です。
自社の商品やサービスを軸に話を進めると、
相手の状況よりも
提供側の都合が前に出てしまいます。
すると相手は、
「これは自分の問題の話ではなく、
売りたい人の話だ」
と感じてしまいます。
これらはすべて、
課題認知を壊してしまう典型例です。
共通しているのは、
相手がまだ
課題に気づいていない
という前提が抜け落ちていること。
課題が自分ごとになっていない段階で、
専門的な説明や解決策、商品情報を受け取ると、
理解よりも先に
防御反応が起きます。
もしここまで読んで、
「自分も解決策から話していたかもしれない」
「商品の説明ばかりしていたかもしれない」
そう感じたなら、
それはとても自然なことです。
多くの人が、
良かれと思って同じことをしています。
ただ、
そのやり方では、
課題を伝えるつもりが、
逆に課題認知を遠ざけてしまう
ことがあるのです。
この段階で大切なのは、
正しい説明をすることでもなく、
優れた解決策を見せることでもありません。
相手の中に、
「これ、
もしかして自分の状況に近いかもしれない」
そう思ってもらえる
余白を残すことです。

