フォームの設計で考慮すること

先日、あるクライアントからサイト再構築の依頼を受けました。

その中で、問い合わせフォームの設計について検討していた際、改めてフォームの重要性を認識することができました。私は、できる限り多くの見込み客の情報を収集し、こちらからアプローチする機会を増やすべきだと考えています。たとえ現時点で需要がなくても、将来的に可能性があるなら、何らかの形でつながりを作っておくことが重要だと考えています。

問い合わせフォームを利用する訪問者は、大きく次の4つのタイプに分けられると考えられます。

・直近で課題を抱え、閲覧しているサイトが提供する手段で解決しようとしている人
(最も受注率が高い見込み客)
・直近で課題を抱えており、閲覧しているサイトが提供する手段を候補の一つと考えている人
(競合が存在する状態)
・課題はあるが緊急度が低く、情報収集をしている段階の人
・具体的な課題はないが、何らかの関心を持っている人

訪問者は、詳細な情報を入力することで営業担当から頻繁に連絡が来るのではないかと懸念する傾向があります。
そのため、3や4の状態の人は、問い合わせフォームを利用するケースが少ないのが現実です。そこで、資料ダウンロードなどのオプションを用意することで、直近では見込み客にならない人でも、将来的に顧客になる可能性を高められます。いわゆる見込み客のリスト化です。

リスト化した見込み客には、定期的なメール配信やセグメント別のアプローチが可能になります。
特に、課題の緊急度が低い層には、業界動向やケーススタディを紹介するメールを配信し、将来的に顧客になる可能性を高められます。

しかし、資料ダウンロードを設置すると、本来は1や2の状態で問い合わせを検討していた人が、ダウンロードの方に流れてしまい、直接の接触機会を失うリスクもあります。

今回のクライアントは、営業担当が電話で連絡を取る業務フローを採用しているため、資料ダウンロードによる機会損失を避けたいとの意向がありました。

Webサイトやダウンロード資料、カタログなどの仕様をどこまで詳細に設計するかは、扱っている商材や営業フローによって大きく異なります。たとえば、高額な設備機器を扱う場合は、カタログや資料に製品の技術仕様や導入事例を豊富に盛り込むことが求められます。一方で、サービス業やコンサルティング業のように抽象的な価値を提供する場合は、資料を簡潔にまとめ、具体的な成果やメリットを視覚的に示すことが重要になります。

特にBtoBでは、対面営業やオンラインミーティングを通じて信頼を勝ち取るケースが一般的です。そのため、資料やWebサイトは「顧客との最初の接点」として重要な役割を果たします。つまり、あくまで商談のきっかけを作るためのツールであり、内容を緻密にしすぎるとかえって読者に負担を感じさせる場合もあります。

また、業種によって設計の優先順位も異なります。製造業であれば、詳細なスペックシートや技術基準が重視される一方、ITサービスやソフトウェア業界では、問題解決のアプローチや導入後の支援体制についての情報が期待されます。このように、営業フローを深く理解し、商材の性質に応じた資料設計を行うことが必要です。

さらに、設計の詳細さを決める際には、ターゲットとなる顧客層の情報収集行動や購買プロセスも考慮に入れるべきです。たとえば、慎重な検討を要する商材の場合、複数の意思決定者が関与するため、それぞれの役職や関心領域に応じた情報を用意する必要があります。一方で、迅速な意思決定が求められる業界では、簡潔で要点を押さえた資料が好まれる傾向にあります。

リスト化したほうが見込み顧客が増え、早い段階でアプローチできると単純に考えていましたが、このあたりは業態にやセールスフローによっって考え方が変わるのを再認識させられました。

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この記事を書いた人

株式会社ねこすけの代表をしています。
2005年に創業しWebマーケティングを実践するためのコンサルティング、サイト構築、サイト運用、システム開発を行っています。
会員・顧客属性を利用したコンテンツ管理を得意としており、協会サイト、多ブランドのECサイト、会員向けコンテンツサイトなどを構築運営しています。Webマーケティングのパートナーがほしいと感じている方、ご相談ください。
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