Notionを使えば、個人の顧客管理・人脈管理の仕組みは無料で自作できます。結論を先に言うと、「人物」「接触記録」「タスク」の3つのデータベースをリレーションでつなぐのが正解です。この記事の設計図どおりに作れば、パーソナルCRMとして十分機能するものが1〜2時間で完成します。
ただし、Notion自作には構造的な限界もあります。リマインドが弱い、名刺を撮っても文字にならない、メールが送れない、そして何より運用が自分の意志力に依存する。この記事では「作り方」と「限界」の両方を正直に解説し、どこまでを自作でまかない、どこから専用ツールに切り替えるべきかの判断基準を示します。
そもそもパーソナルCRMで何を管理すべきかは、パーソナルCRMとは?完全ガイドで全体像を確認してください。
なぜNotionで顧客管理を自作するのか
Notionが自作パーソナルCRMの土台として人気なのは、次の理由からです。
- 無料で始められる: フリープランでも個人利用ならページ・ブロック数は実質無制限です
- 項目を完全に自由に設計できる: 既製ツールにない「なりたい関係」のような独自項目も作れる
- すでに使っている人が多い: メモやタスク管理でNotionを使っていれば、新しいツールを覚える必要がない
特に2つ目が重要です。人脈は「集める」ものではなく「育てる」もの。育てるためには、①なりたい関係を決める→②次回接触を予定する→③準備をタスク化する→④接触を記録する、というサイクルが必要です。Notionなら、このサイクルを回すための項目を自分で設計できます。
設計図: 3つのデータベースを作る
ページを1つ用意し、その中にフルページのデータベースを3つ作ります。中心は人物DBで、接触記録DBとタスクDBがそれにぶら下がる構造です。
① 人物DB(中心となるデータベース)
| プロパティ名 | 種類 | 設定例・目的 |
|---|---|---|
| 名前 | タイトル | 氏名(会社名は別プロパティに) |
| 会社・肩書き | テキスト | 所属と役職 |
| 現在の関係 | セレクト | 名刺交換のみ / 知人 / 取引先 / 紹介元 / 友人 |
| なりたい関係 | セレクト | 上と同じ選択肢。ギャップが行動の源泉になる |
| ランク | セレクト | A / B / C(注力度) |
| 次回接触予定日 | 日付 | このDBで最も重要な項目 |
| 出会った場所・経緯 | テキスト | 「2026/5 ○○交流会で△△さんの紹介」など |
| 相手の関心事 | マルチセレクト | 事業承継 / 採用 / ゴルフ など |
| 顔写真 | ファイル | 撮影許可を得て登録 |
| 接触記録 | リレーション | 接触記録DBと接続 |
| タスク | リレーション | タスクDBと接続 |
| 最終接触日 | ロールアップ | 接触記録DBの日付の「最新」を表示 |
ポイントは「現在の関係」と「なりたい関係」を別々のセレクトで持つことです。この2つに差がある人こそ、次回接触予定日を入れるべき相手です。
② 接触記録DB
| プロパティ名 | 種類 | 設定例・目的 |
|---|---|---|
| タイトル | タイトル | 「2026/07/21 ランチMTG」など日付+要約 |
| 日付 | 日付 | 接触した日 |
| 種別 | セレクト | 対面 / オンライン / 電話 / メール / 会食 |
| 人物 | リレーション | 人物DBと接続 |
| 内容 | (本文に記載) | 話した内容・相手の近況・次の約束を本文へ |
③ タスクDB
| プロパティ名 | 種類 | 設定例・目的 |
|---|---|---|
| タスク名 | タイトル | 「○○さんに紹介記事のURLを送る」 |
| 期限 | 日付 | リマインドの基準日 |
| ステータス | ステータス | 未着手 / 進行中 / 完了 |
| 人物 | リレーション | 人物DBと接続 |
リレーションとビューの設定手順
- リレーション設定: 接触記録DBの「人物」プロパティで種類に「リレーション」を選び、対象に人物DBを指定します。「人物DBにも表示」をオンにすると、人物側からも記録が見えます。タスクDBも同様に設定します。
- ロールアップ設定: 人物DBに「最終接触日」プロパティを作り、種類「ロールアップ」→リレーション「接触記録」→プロパティ「日付」→計算「最新の日付」を選びます。これで「最後に会ってから何か月空いたか」が一目で分かります。
- ビュー作成: 同じDBでも、見せ方を変えるだけで運用のしやすさが激変します。おすすめは次の4つです。
| ビュー名 | 種類 | フィルタ・並び替え |
|---|---|---|
| 今週会う人 | テーブル | 次回接触予定日が今週以内 |
| 接触が切れている人 | テーブル | 次回接触予定日が過去 or 空欄、ランクA優先 |
| 関係ギャップ一覧 | テーブル | 現在の関係≠なりたい関係の人を並べる |
| 接触カレンダー | カレンダー | 次回接触予定日を月表示 |
運用ルール: 作った仕組みを「育てるサイクル」に載せる
データベースは器にすぎません。次の3つをルール化してください。
- 接触したら当日中に記録する(接触記録DBに1件追加。3行で十分です)
- 記録と同時に次回接触予定日を必ず入れる(空欄=その人との関係が漂流します)
- 週1回「接触が切れている人」ビューを開く(金曜夕方など、曜日を固定する)
Notion自作の限界: 正直に言うと5つある
実際に運用すると、次の壁に突き当たります。
- リマインドが弱い: Notionの通知は控えめで、次回接触予定日が過ぎても強くは知らせてくれません。「ビューを自分で開きに行く」運用が前提になります。
- 名刺OCRがない: もらった名刺は1枚ずつ手入力です。交流会で20枚もらった週に、入力が止まりがちです。
- メール配信ができない: フォローメールの下書き・スケジュール送信・一斉配信はNotion単体では不可能で、別ツールとの手動連携が必要です。
- サイト上の行動が記録できない: 相手が自社サイトのどのページを見たか、といったマーケティング文脈の情報は取り込めません。
- 運用が意志力に依存する: これが最大の限界です。入力も確認もリマインドも「自分がやる」前提の仕組みは、繁忙期に必ず止まります。仕組みが止まると、関係を育てるサイクルごと止まります。
自作からの卒業ライン
次のチェックリストに2つ以上当てはまったら、専用ツールへの移行を検討するタイミングです。
- 接触記録の入力が2週間以上止まったことがある
- 名刺の手入力が面倒で、未登録の名刺が溜まっている
- フォロー連絡を「思い出した人にだけ」している
- 次回接触予定日が過ぎている人が10人以上いる
- メール配信やサイト行動の記録まで一元化したくなった
たとえば、ねこすけCMSのパーソナルCRM機能は、この記事で自作した構造(なりたい関係・現在の関係・次回接触予定日・タスク)をそのまま標準機能として持ち、名刺OCR・顔写真・ダッシュボードでの期限切れ表示・リストマーケティング連携までを一体で提供しています。特徴的なのは、フォローメールが自動で下書き・スケジュールされつつも「未承認」で止まり、送信前に必ず自分で編集・確認する半自動設計であること。自作Notionで身につけた運用習慣は、そのまま専用ツールでも活きます。移行先の比較は人脈管理アプリおすすめ比較をご覧ください。
よくある質問
Q1. 配布されているNotion CRMテンプレートを使うのと自作、どちらがよいですか? A. 構造を理解するためにも、まず本記事の3DB構成を自作するのがおすすめです。テンプレートは項目が多すぎて続かないことが多く、自作なら「なりたい関係」など自分の商売に必要な項目だけに絞れます。
Q2. 無料プランのままで足りますか? A. 個人利用なら足ります。ファイルアップロードの容量制限(1ファイルあたりのサイズ上限)はあるため、顔写真や資料を大量に添付する場合のみ有料プランを検討してください。
Q3. 顧客情報をNotionに入れても安全ですか? A. Notionは通信・保存の暗号化を備えた実績あるサービスですが、共有設定のミスによる漏えいは自己責任です。人脈DBはワークスペースの共有範囲を必ず「自分のみ」にし、外部共有リンクを発行しないでください。
まとめ
- Notionの顧客管理は「人物」「接触記録」「タスク」の3DB+リレーションで自作できる
- 「現在の関係」と「なりたい関係」を分けて持ち、次回接触予定日を必ず入れるのが運用の核
- 限界は、リマインドの弱さ・名刺OCRなし・メール配信不可・行動記録不可・意志力依存の5つ
- 入力が止まり始めたら自作の卒業ライン。習慣はそのままに、専用ツールへ移行する
- ツールが何であれ、①決める→②予定する→③準備する→④記録するのサイクルが本体
パーソナルCRMの考え方と機能の全体像は、パーソナルCRMとは?完全ガイドで詳しく解説しています。
